がん

有名人のがん死 横溝正史さん

 

作家の横溝正史さんは、1981年に結腸がんで亡くなりました。代表作としては、金田一耕助シリーズなどが挙げられます。横溝正史さんは、江戸川乱歩と入れ替わるかたちで、日本探偵小説界のエースとして長年活躍しました。

 

結腸がんというのは、大腸がんの一種です。大腸がんは、食生活が欧米化した日本では増加傾向にあります。とくに結腸がんの増加は顕著であり、大腸がんの発生率の約7割を占めています。

 

結腸がんの原因は様々ありますが、第一には「脂肪の消化の際に発生する物質」が挙げられます。動物性の脂肪を摂取すると、消化を助けるために胆汁酸がたくさん分泌されます。その際に発生する発がん物質が原因で、大腸の粘膜にがんが発生すると考えられているのです。

 

大腸というのは、他の消化器器官と同様に、内側は粘膜で覆われています。大腸は、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5つの層で構成されています。また、腺腫とよばれる良性の腫瘍が大腸の粘膜に発生することもあります。大腸がんの大半は、この腺腫が関係していると考えられていますが、まだその全貌は明らかになっていません。

 

大腸には様々な部位がありますが、大腸がんができやすい部位は直腸とS状結腸です。直腸とS状結腸にできるがんは、大腸がん全体の約7割を占めています。とくに直腸のがん発生率は群を抜いています。直腸自体の面積は大腸全体の約1割に過ぎませんが、大腸がんの約5割が発生するほどの「がん多発地帯」です。

 

大腸がんは、検査や検査所見による肉眼的分類によって、0型~5型の6種類に分類されます。0型は表在型、1型は腫瘤型、2型は潰瘍限局型、3型は潰瘍浸潤型、4型はびまん浸潤型、5型は分類不能です。

 

表在型は早期がんとして分類されており、ポリープのように盛り上がっている隆起型と、隆起の目立たない表面型の2つに大別されます。隆起型は、良性の腫瘍が巨大化するにつれてがん化する型式のものです。形状から、有茎性、亜有茎性、無茎性の3種類に分類されています。

 

日本人の場合、男性はおよそ11人に1人、女性はおよそ14人に1人が、一生のうちに大腸がんと診断されています。 大腸がんは、女性のがんによる死亡数の第一位であり、2015年には、男性では26,818人、女性は22,881人の方が大腸がんで亡くなっています。大腸がんの死亡率を抑制するためには、生活習慣全体の見直しと、定期的な検診受診が必要です。

 

がんの種類

有名人のがん死 越路吹雪さん

 

舞台女優の越路吹雪さんは、1980年に胃がんで亡くなりました。亡くなる数ヶ月前には、胃の5分の4を切除する大手術を受けましたが、奮闘むなしく命を落としました。

 

当初、越路吹雪さんの病名は胃潰瘍と発表されていました。ですが、実際には末期の胃がんであり、腹膜にも多数のがんが転移しているという、極めて危険な状態だったといわれています。現在とは違い、当時はがん患者本人に病名告知を行うのが一般的ではなかったため、越路吹雪さんにも病名告知は行われなかったそうです。

 

がんという病気は、定期的に検診を受けていれば、早期段階で発見できる可能性が高い病気です。越路吹雪さんも、がん検診を毎年受けていたそうですが、亡くなる前年だけ、多忙のために検診を受けませんでした。毎年がん検診を受けていたのに、亡くなる前年だけ検診を受けなかったというのは、何らかの因果を感じずにはいられません。

 

もちろん、「がん検診を受けてさえいれば、がんが原因で命を落とすことを防止できる」というわけではありません。がん検診に限らず、あらゆる検診は万能ではありません。がん検診にもメリットとデメリットがあります。メリットだけをことさらに喧伝して、デメリットを無視するというのはフェアではありません。

 

がん検診には、がんを早期発見して適切な治療を行うことで、がんによる死亡率を低下させるというメリットがあります。その一方で、「放置しても命にかかわらないような小さながん」までも発見できてしまうため、不要な治療を受けてしまい、心身に多大なダメージを被ることがあるというデメリットもあります。

 

これはあらゆる検診についてもいえることですが、「検診の結果は全て正しい」ということなどあり得ません。一昔前と比べると、現代のがん検診の技術は飛躍的に発達しています。ですが、どんなに技術が発達しても、限度や限界はあります。「がん検診を受ければ、身体に存在する大小様々ながんをたちどころに発見できる」わけではないので注意が必要です。

検診というのは、数多存在する自己防衛の一種であり、唯一絶対のものではありません。検診に対して高い信頼を置いている人も少なくありませんが、過信するのは危険です。検診のメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、健康維持の一環として検診を利用するのが正しい態度であるといえます。これは何事にもいえることですが、付かず離れずの距離を保って付き合うことが、物事を効果的かつ効率的に利用するためのコツです。

 

がんの種類