がん

食道がんと抗がん剤の関係性について

 

がんという病気は、「固形がん」と「血液がん」に大別されます。固形がんはさらに、「上皮細胞がん」と「非上皮細胞がん」に分けられます。基本的に、固形がんは、手術をしなければ治らない場合が多いです。

 

固形がんの中でも、「食道がん」はかなり特殊です。食道がんは、発見しにくく、進行しやすく、転移しやすく、再発しやすいという、非常にやっかいなタイプのがんです。

 

食道がんがやっかいなのは、その発生位置も大きく関係しています。食道というのは、肺や心臓などの奥にある「かしこまった臓器」です。そのため、手術を行いにくく、患者の身体への負担も大きくなります。「物理的に手を出しづらい臓器」に強引に手を入れて手術をするわけですから、無理がたたるのも当然のことです。

 

がんの術後再発を抑制するために、手術の前後に抗がん剤を投与するという手法があります。食道がんの患者に対して、手術の前に抗がん剤を投与する「術前補助化学療法」と、手術の後に抗がん剤を投与する「術後補助化学療法」の臨床試験が行われた結果、前者の方が治療成績が良いという結論が出ました。

 

手術の前に抗がん剤を投与した場合、手術を行う時期が数ヶ月遅れます。その数ヶ月の遅延の間に、がんが広がって、手の施しようがない状態になってしまうこともあります。抗がん剤を投与する行為は「大きな賭け」です。この賭けの結果が、文字通り、生死を分かつことになります。

 

がんの種類

食道がんは「やや特殊ながん」

 

食道がんというものに対して、「他の種類のがんと変わらない、ごくありふれたがん」というイメージを持っている人も少なくありません。「ごくありふれたがん」であることは確かなのですが、その中でも「やや特殊ながん」であるのが食道がんの特徴です。

 

食道がんは、胃がんなどと比べると、リンパ節などに転移しやすいという性質があります。転移していても患者本人に自覚症状がほとんどない場合、それほど深くない浸潤(本来その組織固有のものでない細胞が組織の中に出現すること)でも、大がかりな外科手術が必要になることも少なくありません。

 

また、食道がんがやっかいな理由として、「場所が良くない」というものがあります。食道自体の場所が肺や心臓などの臓器よりも奥にあるため、干渉しにくいのです。干渉しにくいということは、治療もしにくいということです。そのため、食道がんの程度によっては、難易度が非常に高い外科手術を受けなければならないこともあります。

 

食道がんに限らず、術後再発を抑制するために、抗がん剤治療を行うことも少なくありません。抗がん剤治療を術前に行うか術後に行うかという論争(術前補助化学療法VS術後補助化学療法の論争)が長年に渡って繰り広げられていましたが、近年になって、術前に抗がん剤治療を行った方が良いという結論が出ています。

 

確かに、抗がん剤治療をしっかりと行うことによって、がんの再発率を抑制することができるというデータはあります。ですが、そのデータを全てのケースに当てはめることはできません。場合によっては、抗がん剤治療を行うことによって、がんの再発率が上がることもあります。「患者全体の方向性=個々の患者の方向性」ではないので注意が必要です。

 

がんの種類

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