がん

がん治療そのものを人生の目的にしない

 

がん患者の中には、「がん治療を受けることが人生のメインになっている人」も少なくありません。がん治療に熱心に取り組むのは良いことですが、熱心に取り組むことと、それに固執することは違います。がん治療そのものを人生の目的にするのは非常に危険です。

 

そもそも治療というのは、「人生をより良くするために受けるもの」です。人生という一本の太い幹に対して、添え木のような役割を担うのが治療の本来の在り方です。治療というのはあくまでも推進剤であり、ロケットそのものではありません。

 

がん患者の「なにがなんでもがんを治したい」という気持ちはよく理解できます。ですが、がんという病気は他の病気と違い、治癒の判断が非常に難しい病気です。そのため、「がんか、がんではないか」というはっきりとした区分けにこだわる患者は、とてもつらい立場に立たされることになります。

 

これはがんに限らず、あらゆる事象についても言えることですが、「白か黒かに固執することによって得られるメリット」というのはごくわずかです。そのわずかばかりのメリットを得ようとして、多大なデメリットを抱え込んでしまっては元も子もありません。

 

がん治療を受けることによって、がんが治るのであればそれに越したことはありませんが、物事はそう簡単にはいきません。早期段階で適切ながん治療を受けたにもかかわらず、命を落とした患者はたくさんいます。白か黒かという二者択一ではなく、「白と黒の間のグレーを生きる」という選択肢をあらかじめ盛り込んでおくことが、がん治療とうまく付き合うためのコツです。

 

がん治療

がん患者が想像する「最良の事態」とは

 

がん患者が想像する「最悪の事態」といえば、「がん治療が上手くいかずに、早期段階で命を落とすこと」です。その反対に、がん患者が想像する「最良の事態」といえば、「がん治療が上手くいって、がんが治癒すること」や「がん治療が上手くいって、長生きすること」です。これはがん治療に限った話ではありませんが、物事を想像する際には、最良の事態と最悪の事態の両極端を想像しておくことが大事です。

 

最良の事態が到来する要因は様々あります。以下がその通りです。

 

・初回の抗がん剤治療が上手くいき、副作用も少なかった。

 

・想定していたよりもがんの進行が遅かった。

 

・患者の体力があまり低下しなかった。

 

・新しい抗がん剤を使える状況になった。

 

・「がんの版図」がそれほど広がらなかった。

 

上記の例はあくまでも一例であり、最良の事態が到来する要因は他にもたくさんあります。がんという病気は、様々な要因が複雑に絡み合って発現する病気です。そのため、がん治療の成否も、様々な要因の兼ね合いによって決まります。

 

そもそもがん治療というのは、「このような症状の場合、この治療を行っておけば良い」という類いのものではありません。AだからBするという「順接の対応」をとるだけではなく、AだけどCするという「逆接の対応」をとるケースもあります。唯一絶対の正解というものはありません。人事を尽くしたら、天命を静かに待ちましょう。

 

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